自信の大もとは「自分への肯定感」であり、「愛着障害」を知ることでさらに視界が開けた。「成長思考」を読んで得たこと。

赤羽さんの「成長思考-心の壁を打ち破る7つのアクション」をご紹介します。

成長し続けることは、実は、そこまでむずかしいことではない。私はそう考えています。成長は、人にとってごく自然なことだからです。決して特別なことではありません。(中略)本書では、「成長するという目標に向かって一定の努力をすれば、誰でも、壁を乗り越えて成長し続けることができる」ということをお伝えしたいと思います。

一番の収穫は「愛着障害」を知ったこと

実はこの本を読んで一番の収穫は、「愛着障害」という言葉とそれに関する書籍に出会えたことです。いきなり赤羽さんではない書籍の紹介になってしまいますが、私にとってこの二冊に出会えたことは本当に大きな出来事だったので、あえてここを取り上げてみます。

自信の大もとは「自分への肯定感」「成長のための効果的な考え方と具体的な努力」「小さな成功体験の蓄積」です。「自分への肯定感」は、生まれてから2歳くらいまでの母親の愛情と接し方が決定的な影響を及ぼし、小学校くらいまでの親の接し方や家庭環境で大きく左右されるようです。

赤羽さんはこのように述べ、自己肯定感に不安がある人は、「愛着障害」に関する書籍を読むことをすすめています。 「自己肯定感」という言葉はよく耳にします。「自分は大切な存在だと思える心の状態」などと言われています。要するに「自信がある人」「ポジティブな人」はこれが高いわけですが、では何によって高い人と低い人を分けてしまうのか、それが幼少期の家庭環境にあるということです。

この二冊で紹介されている親子の事例はどれも壮絶なものばかりでした。身体的な虐待、精神的な虐待、あらゆる事例がありました。それでも、誰もが程度の差こそあれ、まったく別世界の話ではないこともわかりました。いや、むしろすべてがここに行きついてしまうような、それくらい人間の成長にとって大きな影響がある分野であることを知りました。

私自身を振り返ってみると、ああなんとも恵まれた環境だったのだな、と、両親への感謝の気持ちが大きくなりましたが、それでも、トラウマとまではいかなくても何かしら過去の失敗体験などから、心理的にブレーキをかけていることはあると感じました。

このように自分自身の自己肯定感というものを改めて見直すことができたことの他に、今までに関わってきた人たち、今まさに関わっている人たちを新しい視点で見ることができるようになったことはとても大きな収穫です。家族、友人、知人、会社の上司、同僚、後輩、部下、社会人になると多くの人たちと関わり生きていることを実感します。

そのなかには、何かとトラブルを引き起こす人、極端にネガティブな人、どういうわけか攻撃的な人、自慢話ばかりする人、悪口や愚痴ばかりこぼす人、どうにもうまく関われない人が少なからずいたことに気づきます。もちろん、自分自身にも問題があることは前提としますが、この視点で考えると、そんな人たちの行動や言動が、驚くほど腑に落ちたんですね。おおよそのことは理解できる気がしました。もちろん、愛着障害だけが原因ではないと思いますし、私の今の浅い知識で決めつけることがいかに危険かは承知のうえで、それでも、新しい視点で接することや考えることができるようになったことは、まさに成長だと思っています。本当にこれは大きな収穫でした。

また、父親としても、子供にとってこの「自己肯定感」を育んであげることが、いかに重要であるかを実感しています。ここを損なうことだけは決してしてはならないと強く思いました。

ということで、どうにもポジティブに考えられない、自信がない、自分だけでなく周りにそのような人がいる、親という立場で子供への接し方に不安がある、という人にも、この二冊はぜひとも読んでいただきたいです。

誰でもいつだって成長できる。成長を止めているのは自分であり、自分自身で壁を作っているだけである。

あえて「自信の回復」と申し上げているのは、健全に育った人は、誰でもそれなりの自己肯定感を持ち、ある程度の自信を持って育っています。自然現象であり、自然の摂理といってもいいと思います。しかし、親に馬鹿にされ続けたとか、先生に一方的に叱られたとか、同級生に仲間外れにされたとか、会社の上司から罵倒され続けたといった理由により、大きく傷つけられた人が非常に多いからです。この本では、そういった方も、自ら傷を癒し、成功体験などを通じて健全な気持ちを再び持てるようになるためのヒントを説明しました。

今回は自分自身で壁を作ってしまう原因、ブレーキの原因はどこにあるのか、その過程で辿り着いた「愛着障害」という部分を取り上げてみました。いわゆるトラウマに悩み本来の力を発揮できず苦しんでいる人がたくさんいる、そのような人たちにも成長するための具体的なアクションがわかりやすくまとめられています。すぐに実践できることがたくさんあります。「愛着障害」に限らず、いつもの赤羽さんらしく分かりやすい章立てと具体的な実践方法、そして誰でもいつだって成長できるというメッセージには、勇気づけられる思いがしました。「成長思考-心の壁を打ち破る7つのアクション 」おすすめです。

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